2009年01月11日

第六巻壱回  そして、ボーイズラブ【09.01.10】

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仇花の記憶~ショタやおい雑話~

第六巻壱回  そして、ボーイズラブ
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
本年度もよろしくお願い致します。
さて、つらつらと綴って参りましょうか。

今回は、JUNE・やおい・耽美・ボーイズラブの
変遷の状況を年表風に駆け足でお浚いする試み
を致します。
理由と致しましては、ボーイズラブが外部から
論じられます際に分野情勢の変遷を綺麗さっぱ
り無視されて、現行の勢力分布があたかも最初
から存在したかの様に強引に平面化されて説明
されているからです。
こういう言葉にだって歴史はあるのだよ、と言
う事を改めて知って戴ければ幸いかと。筆者も
認識を整理しておきたくありますし。
出来る限り記述して参ります。ご了承下さい。

○●○

JUNE以前【1978年10月以前】

この分野を特定する言葉は発生していない。
転用された言葉は存在するが、その用法は元か
らの語義に依存する部分が大きかった。



comicJUN創刊【1978年10月1日】

サン出版より刊行。1979年2月1日にJUNEと改題
するが方向性はほぼ確立されていた。【傍注1】
なお、この改題に際し「作家のジャン=ジュネ
の名から誌名を採った」と言う巷説が流れてい
るが、ジャン=ジュネの名から誌名を採ろうと
していたのは同じ版元が刊行していた男性同性
愛者向け雑誌『さぶ』の事であった。【参照1】
誌面を見る限り、二次創作もオリジナルも、又
そう言う風に読む事の出来る既存の創作表現も
《JUNE》と言う認識の下に集約されていた感が
ある。



らっぽり『やおい』特集号刊行
【1979年12月20日】〔*後に再録〕

《やおい》を定義した現在確認できる限り最古
の文献である。ここで定義されたものは二次創
作要素を含まないオリジナルであり、色彩とし
ては限りなく《JUNE》に近い。



キャプテン翼同人誌ブーム【1980年代中盤~】

この時点で《やおい》=同性愛関係を主軸とし
た二次創作と言う認識が発生した模様。明確な
文献は未だ確認されず。
又余談ながら《やおい》=同人誌と明確に断言
した文献も未だ確認されていない。
同人誌=《やおい》と言う認識を忌避する記述
が聖闘士星矢アンソロジーに掲載された事はあ
ったが。【参照2】



BOY'S LOVE COMICイマージュ創刊
【1991年12月10日】

白夜書房より編集プロダクション(有)すたん
だっぷの手によって刊行。Boy's Loveと言う言
葉の初出である。
これに前後して勁文社より『耽美小説SERIES』が
刊行され始める。これに続き翌年2月白夜書房よ
り『白夜耽美小説シリーズ』が、又12月には二
見書房より『VelvetRoman』シリーズが刊行され
始め、この時点より男性同性愛関係を描いた女
性向け創作小説を称して《耽美小説》と明確に
呼ぶ様になったと思われる。が、この冠が漫画
に冠される事は殆どなかった様子。
そして、この発生時期が微妙に重なった為か
《Boy's Love》≒《耽美》と言う認識混同が生
じていた模様。
実際に明確な区分は提示されていなかった。



Charede創刊【1994年3月1日】

二見書房より刊行。白夜書房=(有)すたんだ
っぷ以外でBoy's Loveと言う言葉を用いた嚆矢
と思われる。
しかしながら、現行のBoy's Loveの軽やかさは
見られず、《耽美》との認識混同もまだ存在し
ている模様。



月刊ぱふ〔雑草社・刊〕
「BOYS LOVE MAGAZINE完全攻略マニュアル」
掲載【1994年8月1日】

この特集において青磁ビブロスの雑誌編集方針
が提示されている。その目指す所は今日のボー
イズラブそのものであるが、留意せねばならな
いのはこの時点でその説明に《Boy's Love》と
言う言葉が用いられていない事だ。
むしろ《やおい》と言う言葉で作品が語られて
いたのではないかと言う雰囲気が覗える。
『MAGAZINE BE×BOY』のキャッチフレーズに
《BOY's》と冠される様になったのは筆者確認の
限り95年頃ではないかと思われる。
青磁ビブロス~ビブロス刊行物誌面に《ボーイ
ズラブ》の文字が躍る様になったのは97年、社
名変更が正式になされてからの事と思われる。
又『MAGAZINE BE×BOY』のキャッチコピーに
《BOYS LOVE》と用いられる様になったのは2002
年以降。



コミックJUNE、現行方針にリニューアル
【1998年12月5日】〔マガジン・マガジン/刊〕

『JUNE』から派生したコミック雑誌『コミック
JUNE』が四号目にして現在に至る過激な性描写
主導の内容にリニューアル。
キャッチコピーに『ボーイズコミック』と用い
る。



2000年筆者がインターネット上に入った時点で
《Boy's Love》と言う言葉は好事家の間で用い
られ、定義も『軽味を帯びたオリジナル創作』
と言う認識で落ち着いていた。
二次創作をボーイズラブと言い換える用法は確
立していなかったと思われる。

○●○

そして今日に至る…と言う略年表でございます。
いや、略が出来ているかどうか怪しいものです
が。
とりあえず、言葉の流れとしてこういうものが
あったのだという事は少し掴んで戴けたかと愚
考致します。
この辺を少し踏まえれば、作品を検分する際に
少し役に立とうかと。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。
では次号配信まで、御機嫌宜しゅう。

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傍注1
株式会社『JUN』からクレームがあった為誌名変
更に至ったとの事。『JUNE』4号に編集部よりの
簡略な説明あり。

参照文献
『消えたマンガ雑誌』新保信長:編
メディアファクトリー/2000.2.14初版

『マンガ青春記』中島梓
集英社文庫/89.12.20初版

『ひそやかな教育 
〈やおい・ボーイズラブ〉前史』
石田美紀 洛北出版/2008.11.8初版


参照1
『小説JUNE』通巻144号(2002年10月号)
マガジンマガジン/2002.10.1発行
※“『さぶ』大辞典”内インタビュー記事
談:櫻木編集長;『JUNE』編集長(当時)。
『さぶ』及び『JUNE』の創刊に関わる。

*再録
『小説JUNE』通巻129号 (2001年3月号)
マガジンマガジン/01.3.1発行
※巻末綴じ込み付録として再録

参照2
『星矢危機一髪 あぶないせいや』
別冊COMICBOX(5)
ふゅーじょんぷろだくと/87.9.1初版
※読者のお便りコーナーにて<やおい>議論

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仇花の記憶~ショタやおい雑話~
第六巻壱回 2009.1.10発行
ラベル:語源 June 耽美小説
posted by 葡萄瓜XQO at 09:57| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | バックナンバーより | 更新情報をチェックする
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