2009年01月11日

第六巻壱回  そして、ボーイズラブ【09.01.10】

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仇花の記憶~ショタやおい雑話~

第六巻壱回  そして、ボーイズラブ
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
本年度もよろしくお願い致します。
さて、つらつらと綴って参りましょうか。

今回は、JUNE・やおい・耽美・ボーイズラブの
変遷の状況を年表風に駆け足でお浚いする試み
を致します。
理由と致しましては、ボーイズラブが外部から
論じられます際に分野情勢の変遷を綺麗さっぱ
り無視されて、現行の勢力分布があたかも最初
から存在したかの様に強引に平面化されて説明
されているからです。
こういう言葉にだって歴史はあるのだよ、と言
う事を改めて知って戴ければ幸いかと。筆者も
認識を整理しておきたくありますし。
出来る限り記述して参ります。ご了承下さい。

○●○

JUNE以前【1978年10月以前】

この分野を特定する言葉は発生していない。
転用された言葉は存在するが、その用法は元か
らの語義に依存する部分が大きかった。



comicJUN創刊【1978年10月1日】

サン出版より刊行。1979年2月1日にJUNEと改題
するが方向性はほぼ確立されていた。【傍注1】
なお、この改題に際し「作家のジャン=ジュネ
の名から誌名を採った」と言う巷説が流れてい
るが、ジャン=ジュネの名から誌名を採ろうと
していたのは同じ版元が刊行していた男性同性
愛者向け雑誌『さぶ』の事であった。【参照1】
誌面を見る限り、二次創作もオリジナルも、又
そう言う風に読む事の出来る既存の創作表現も
《JUNE》と言う認識の下に集約されていた感が
ある。



らっぽり『やおい』特集号刊行
【1979年12月20日】〔*後に再録〕

《やおい》を定義した現在確認できる限り最古
の文献である。ここで定義されたものは二次創
作要素を含まないオリジナルであり、色彩とし
ては限りなく《JUNE》に近い。



キャプテン翼同人誌ブーム【1980年代中盤~】

この時点で《やおい》=同性愛関係を主軸とし
た二次創作と言う認識が発生した模様。明確な
文献は未だ確認されず。
又余談ながら《やおい》=同人誌と明確に断言
した文献も未だ確認されていない。
同人誌=《やおい》と言う認識を忌避する記述
が聖闘士星矢アンソロジーに掲載された事はあ
ったが。【参照2】



BOY'S LOVE COMICイマージュ創刊
【1991年12月10日】

白夜書房より編集プロダクション(有)すたん
だっぷの手によって刊行。Boy's Loveと言う言
葉の初出である。
これに前後して勁文社より『耽美小説SERIES』が
刊行され始める。これに続き翌年2月白夜書房よ
り『白夜耽美小説シリーズ』が、又12月には二
見書房より『VelvetRoman』シリーズが刊行され
始め、この時点より男性同性愛関係を描いた女
性向け創作小説を称して《耽美小説》と明確に
呼ぶ様になったと思われる。が、この冠が漫画
に冠される事は殆どなかった様子。
そして、この発生時期が微妙に重なった為か
《Boy's Love》≒《耽美》と言う認識混同が生
じていた模様。
実際に明確な区分は提示されていなかった。



Charede創刊【1994年3月1日】

二見書房より刊行。白夜書房=(有)すたんだ
っぷ以外でBoy's Loveと言う言葉を用いた嚆矢
と思われる。
しかしながら、現行のBoy's Loveの軽やかさは
見られず、《耽美》との認識混同もまだ存在し
ている模様。



月刊ぱふ〔雑草社・刊〕
「BOYS LOVE MAGAZINE完全攻略マニュアル」
掲載【1994年8月1日】

この特集において青磁ビブロスの雑誌編集方針
が提示されている。その目指す所は今日のボー
イズラブそのものであるが、留意せねばならな
いのはこの時点でその説明に《Boy's Love》と
言う言葉が用いられていない事だ。
むしろ《やおい》と言う言葉で作品が語られて
いたのではないかと言う雰囲気が覗える。
『MAGAZINE BE×BOY』のキャッチフレーズに
《BOY's》と冠される様になったのは筆者確認の
限り95年頃ではないかと思われる。
青磁ビブロス~ビブロス刊行物誌面に《ボーイ
ズラブ》の文字が躍る様になったのは97年、社
名変更が正式になされてからの事と思われる。
又『MAGAZINE BE×BOY』のキャッチコピーに
《BOYS LOVE》と用いられる様になったのは2002
年以降。



コミックJUNE、現行方針にリニューアル
【1998年12月5日】〔マガジン・マガジン/刊〕

『JUNE』から派生したコミック雑誌『コミック
JUNE』が四号目にして現在に至る過激な性描写
主導の内容にリニューアル。
キャッチコピーに『ボーイズコミック』と用い
る。



2000年筆者がインターネット上に入った時点で
《Boy's Love》と言う言葉は好事家の間で用い
られ、定義も『軽味を帯びたオリジナル創作』
と言う認識で落ち着いていた。
二次創作をボーイズラブと言い換える用法は確
立していなかったと思われる。

○●○

そして今日に至る…と言う略年表でございます。
いや、略が出来ているかどうか怪しいものです
が。
とりあえず、言葉の流れとしてこういうものが
あったのだという事は少し掴んで戴けたかと愚
考致します。
この辺を少し踏まえれば、作品を検分する際に
少し役に立とうかと。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。
では次号配信まで、御機嫌宜しゅう。

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傍注1
株式会社『JUN』からクレームがあった為誌名変
更に至ったとの事。『JUNE』4号に編集部よりの
簡略な説明あり。

参照文献
『消えたマンガ雑誌』新保信長:編
メディアファクトリー/2000.2.14初版

『マンガ青春記』中島梓
集英社文庫/89.12.20初版

『ひそやかな教育 
〈やおい・ボーイズラブ〉前史』
石田美紀 洛北出版/2008.11.8初版


参照1
『小説JUNE』通巻144号(2002年10月号)
マガジンマガジン/2002.10.1発行
※“『さぶ』大辞典”内インタビュー記事
談:櫻木編集長;『JUNE』編集長(当時)。
『さぶ』及び『JUNE』の創刊に関わる。

*再録
『小説JUNE』通巻129号 (2001年3月号)
マガジンマガジン/01.3.1発行
※巻末綴じ込み付録として再録

参照2
『星矢危機一髪 あぶないせいや』
別冊COMICBOX(5)
ふゅーじょんぷろだくと/87.9.1初版
※読者のお便りコーナーにて<やおい>議論

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仇花の記憶~ショタやおい雑話~
第六巻壱回 2009.1.10発行
ラベル:語源 June 耽美小説
posted by 葡萄瓜XQO at 09:57| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | バックナンバーより | 更新情報をチェックする

2009年01月09日

小説「そして、なにわの空の下」(2005.1.31)

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仇花の記憶~ショタやおい雑話~

第二巻三回  小説「そして、なにわの空の下」
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
月末の小説配信回。お楽しみ戴ければ幸いです。
○●○
   そして、なにわの空の下
                XQO

 「しょーぶぁいはーんじょでさーさもーてこ
ぉーい」
 窓の外から聞こえるお囃子に合わせて口ずさ
む。
 「つーいでにあーのあほつーれてぇこいー」
 これはアドリブ。寂しいからじゃなくて呆れ
返ってるから。
 折角のえべっさん日和に部屋に篭ってノーパ
ソ前。せこせこアバター作りに精出してるって
のはね…なんやねんな自分とどやしつけられて
も仕方ない。
 しかもそのアバターの顔のベースが「あのア
ホ」なんだから救われないと思う。そのベース
に自分の顔を少しずつ混ぜて…って…夢多い乙
女じゃないんやからさ。力強く生きようや、自
分。二十歳一寸前の男が野郎に置き去りにされ
たから言うて子供代わりのアバター作ってお人
形さんごっこなんて、ホント洒落ならんよ。
 出来上がりつつあるアバターの表情が変に笑
顔なのも癪の種。血の通った笑顔なら欲しいけ
ど、貼り付いて固まった笑顔の様な表情は要ら
んのよ。3Dっぽい効果やから目の表情に変化が
無いのが変に浮き出てしまうんよね。
 だからついもう一度口ずさむ。
 「あーのあーほさーっさと、つーぅれーてぇ
こぉーい」
 心も身体も、こう寒いとやりきれない。

 こうなってみるまで、自分が待たされる立場
になるなんて思いもよらなかった。待たされる
立場と言うのは結構きついものなんやな、と朝
飯の度に対面で冷えている椅子を観て思い知る。
其処にはあのアホが大抵三十分は遅れてのっそ
りと座り、朝一の珈琲を無言で強請っていた。
その日常が途切れたのが去年の天神祭。
 
 『旅出るから』
 『何時からよ?』
 『ん、明日にゃ出たいな、と』
 『明日って宵宮やんか?!そのまま行くんか
い!』
 『うん。あかんか?』
 『せめて本宮の最後まで居ったらんかいな』
 『あー…本宮か。それは外せんなぁ』
 『せやろ?』
 平気な顔で勢いつけて。そうでないと泣いて
しまって格好悪いやん。惚れた野郎の前でや。
格好悪い格好しとるんに、これ以上格好悪くな
ってたまるかい。
 『あんな』
 『なんや?』
 『いや、ええわ』
 『言えや。なんや気色悪い』
 『うん。俺のマグカップ、捨てとってええで?』
 『どう言うこっちゃ?』
 『そう言うこっちゃ。何時帰ってくるか予定
たてとらんし』
 『そうか』
 このアホのマグカップ…いい加減煮染めた様
な色付きになっていて、口も底も欠けている。
オレが捨てる捨てると言ってもその度に無言で
ごねて結局捨てられなかったカップを捨ててく
れと言う事がどう言う事かは、判ってる。
 『サラの奴買うて置いとくからな』
 『お前、耳掃除しとんか?』
 『オー、しっかりしとるわい。だから珈琲飲
みに戻ってこい!』
 そして、とりあえず腹筋に一発。
『ばっくれるんは、承知せんで?』
『お、おう』
涙目の答えに笑い返して、ゆっくりと唇を重
ねた夏の晩…。

 で、昼間えべっさんのお囃子にあわせてぼや
いてたらヒョッコリこのアホは帰って来る訳で。
 「お帰り」
 「只今」
 何故この時期なのかと訝しくは思うけど…あ
あ、この鬱陶しさがなんや心地良い。
 「明日、暇か?」
 「うん。何?」
 「法善寺さんに善哉喰いに行かん?鏡開きの
代わりに」
 「法善寺さんの善哉って…あの善哉やろ?え
えのん?」
 「俺等にかて喰う資格はあるやんか」
 半年振りの不敵でむさ苦しい笑顔に、オレは
飛びついて、そして唇を重ねた。今夜は、暖房
なしでも凍えずに済むだろう。そして明日の法
善寺さんでは二人して善哉を二回お代わりする
のだ。絶対に。               
                   (了)
○●○
参照になる行事事象に関するリンクは敢えて貼
りません。ご了承下さい。
とりあえず事象検索のヒントを一つ。「法善寺
さんの善哉」については、「法善寺横町 ぜん
ざい」で検索をかけると判り易いかと。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。次号まで、御機嫌宜しゅう。
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仇花の記憶~ショタやおい雑話~
第二巻三回 2005.1.31発行
posted by 葡萄瓜XQO at 00:05| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバーより | 更新情報をチェックする

2009年01月06日

小説は眼で愛でる?(2008.7.10)

御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
さて、つらつらと綴って参りましょうか。

皆様はボーイズラブ乃至ショタ作品に目を通す
際、小説を手に取る方が多いでしょうか?それ
とも漫画を手に取る方が多いでしょうか?
現状を観てみれば、手にとられたり語られたり
するのは漫画の方が多い様な感が致します。筆
者自身が手にとるのも確かに漫画の方が多いと
いう現実がございますね。
これは筆者の偏見かも知れませんが、昨今斯界
の小説は純粋に小説のみで語られるのでは無く
他メディア…ドラマCD乃至アニメ化…との連携
を以って語られている率が多くなった気がしま
す。
率直な感を申し上げますと、純粋に文章の力を
以って語られている作家さんの率が少しずつ少
しずつ絞られている様な感じです。

確かにボーイズラブ乃至ショタ小説単行本に挿
絵がないと物足りない、と言う感は否めません。
挿絵が最初から存在しなかった斯界の出版レー
ベルといえば、筆者が記憶する限り二見書房の
VelvetRomanシリーズ・勁文社の耽美小説SERIE
-S・白夜書房の白夜耽美小説シリーズ程度です。
いずれもノベルズサイズでありながらハードカ
バー装丁であるというのは偶然の一致でしょう
か?
閑話休題。角川スニーカー文庫九十年代初頭に
混在していたJUNE小説群には挿絵が確りとござ
いました。これは小説JUNE掲載の小説に必ず挿
絵が入っていた事に由来する、と言うものでは
なく、スニーカー文庫の先駆的存在・集英社コ
バルト文庫等の慣例に従ったものでありましょ
う。つまりは物語世界を観え易くする補助とし
ての役割であった、と考えられます。
その添え物であった筈の挿絵の役割が何時の間
にか文章を押しのけて陰の主役とも言える様な
位置になっている。その過程には幾つかの要因
があったものと考える事が出来ましょう。それ
により少なくとも他ジャンルの小説の挿絵とは
立ち位置が大きく変化したのは確かかと思われ
ます。
一つ仮説を申し上げるならば、挿絵による具体
的なイメージが確立される事によって小説は伝
播し易くなったのではないか、と。
確かに想像を逞しくしてイメージを膨らませる
のも小説を読む醍醐味ではあります。が、特殊
な場面に就いては想像する過程が煩わしくなる
事がございます。その煩わしさの手間を省き具
体的な資格を付与する事によって読み進める効
率が促進されるとしたら?
無論上記の過程が計算づくで行われた、坏と筆
者はおめでたく確信しては居りません。ただ読
み易さを選択する過程で無意識の内に取捨選択
が行なわれ、その過程で要素が採用されたかも
知れない、とは思っております。
どうせ印象を掴むなら雲を掴む様に曖昧模糊と
したものではなくそれなりの輪郭がはっきりし
た人物事象を掴みたい、と筆者も一読者として
考えます訳で。
無論、文章の力を見損なっている訳ではありま
せん。筆者とて端くれとは申せ小説を出力する
活動をしております。行間から滲み出る気配で
読者様に酔って戴いてなんぼだという考えもと
りあえず持っております。
然しながら、中編から長編小説となりますと偶
にイメージの道標が無いと何時しか印象がボケ
てくるという事もある訳でございまして。
粗筋への印象を途中で補完する為にも挿絵は必
要となるのでありましょう。これだけ様々な作
品が溢れている現状においては。

筆者は、小説における挿絵の存在を否定は致し
ません。むしろ歓迎する一人でありましょう。
然しながら、小説の底力や行間を補う為の挿絵
の存在には首を傾げておきます。
文章と挿絵の力が拮抗してこそ、名作は生まれ
るのであろうと一読者として信じておりますの
で。人力車も両輪が上手くバランスを取ってこ
そ粋に走るものでございますし。
……小説が刺身のつま扱いになってしまう様な
小説本が出ない事を静かに祈る日々でございま
す。恐々謹言。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。

ここで暫し事務連絡をば。

『メルマガ天国』の配信サービスが7月31日を
以って終了するとの事でございます。
長らくの間「メルマガ天国」にて弊メールマガ
ジンをご購読戴き有難うございました。
『メルマガ天国』の配信サービス終了に伴い、
継続購読戴けます方は下記のいずれかの配信サ
ービスに時間の余裕を持って移行して戴きます
様よろしくお願い致します。

では次号配信まで、御機嫌宜しゅう。

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仇花の記憶~ショタやおい雑話~
第五巻拾参回 2008.7.10発行
posted by 葡萄瓜XQO at 07:56| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバーより | 更新情報をチェックする

2008年07月26日

第六回「蒼き狼たちの伝説」(2004.2.29発行)

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仇花の記憶~ショタやおい雑話~

第六回  蒼き狼たちの伝説
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
では、ゆるゆると雑談をさせて戴きましょう。

やおい、いやさボーイズラブのゲームがかなり
楽に入手出来る様になったとは世の中進歩した
ものです。まあ、厳密に言えばゲームと言うよ
りは選択肢によって結末が変わるCG挿絵付きの
物語ではありますが。
フリーで配布されているものもありますので、
試しにやってみてそこから泥沼に入り込んだ方
も多いのではないでしょうか。実際、プレイし
てみると愉しきもので御座います。
と、ここまで話を振って置いて今回のお題はゲ
ームではないのです。ゲームもオーディオヴィ
ジュアル媒体ではあるのですが、出番は今暫く
後。今回の主役はアニメビデオで御座います。

『蒼き狼たちの伝説』というアニメ作品のタイ
トルをお聞きになった事はありますでしょうか?
96年にフェニックスエンタティメントにより
製作されたゲイセクシュアル向けロボットスペ
ースオペラです。当時は局地的なブームしか起
こさず時代の波の中に沈んでしまうかと思われ
ましたが、現在は海外YAOI愛好家の手によって
光が当てられている作品です。本邦でも新規の
愛好者が静かに増えつつ在る様です。
発表当時この作品が局地的なブームしか巻き起
こさなかった理由を考えるならば、性愛的な部
分にのみスポットが当り、作品としてのレヴェ
ルに言及する声が少なかった事が考えられまし
ょう。タイアッププロモーション媒体も『薔薇
族』(註1)『manga純一』(註2)『ブレス』
(註3)等の同性愛・やおい関連の雑誌しか開
かれておらず、世間の目もまだまだやおいに商
品価値を見出す程老獪ではありませんでしたし。
当時の一般媒体できちんとこの作品を評価した
のは『スーパーロボット画報 巨大ロボットア
ニメ三十五年の歩み』(竹書房/97.12.24初版)
中のコラム記事程度ではありますまいか。そこ
から口コミを通じてある程度は広がっていたも
のと察せられます。
筆者は今でも時折この作品を再生してみており
ますが、返す返すもこの作品の構想半ばで企画
倒れに終わってしまった(註4)事態は惜しい
です。SFとしての設定も重厚で、後を惹く終わ
り方であるだけに。

さて、この作品、ゲイセクシュアル向けの作品
と申し上げましたが、当のゲイセクシュアルの
方々からは余り歓迎されていない様な感じであ
ります。やおいブームの中の徒花という感覚で
捉えられたのでしょうか。確かにその当時前後
してボーイズラブアニメ作品が多く製作されて
は居ましたが(更に言えばその雰囲気を持たせ
た一般作品も散見されました)、それらとこの
作品は一線を画す雰囲気であったと筆者からは
観えました。
少なくとも心情描写の部分で申し上げるならば、
やおい寄りではなくゲイセクシュアル寄りの描
写ではないかと感じます。情交描写の部分では
幾分やおい寄りであるかと思われはしますが。
描写が些か耽美的であるが故に拒否反応が起こ
ったのかも知れませんが、これはアニメーショ
ンと言う媒体故の効果の増幅効果と差し引きし
て考えねば割に合いますまい。
改めて現状での再評価を望みたい作品でありま
す。ゲイセクシュアルへの偏見がほんの少し薄
れた現代の視点では、この作品はどう捉えられ
るのでしょうか?筆者が聞き及んだ範囲では、
作品としてきちんと評価されつつある様に思え
るのですが。

では、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせ
て戴きます。次号まで、御機嫌宜しゅう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
註1
1971(昭和46)年創刊のゲイセクシュアル雑誌
の老舗。第二書房刊行。伊藤文學:編集。

註2
1995(平成7)年創刊のやおいコミック誌。
光彩書房刊行。2001(平成13)年に『純一REAL』
としてアンソロジー化するも現在休刊。

註3
1994(平成6)年創刊の『女の子のためのホモポ
ルノコミック』誌。ヒカリコーポレーション(創
刊時ひかり出版)刊行。
アンソロジー形態から雑誌形態となり、順風満帆
であるかに思われたが97年初頭、ヒカリ社倒産と
同時に廃刊となった。

註4
全6巻構想であった上、第2巻の製作もプロモーシ
ョンと同時進行しており、97年には発売される予
定であったと思われる。フェニックス社の倒産に
より果たせぬ夢で終わってしまったが。
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posted by 葡萄瓜XQO at 20:32| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバーより | 更新情報をチェックする

2008年07月24日

小説『車輪の跡』(2006.7.25)

    車輪の跡
             XQO

 鉦と太鼓の音がうねり、トーンの揃っている
様な揃っていない様な掛け声が合間に唱和する。
そういう中で二人が逢瀬を重ねる様になってか
ら結構久しい。逢瀬と言っても体は繋いでいな
いけれど。

 『来年、如何する?』と言うのが別れ際の定
番の挨拶。二人とも氏子と言う訳ではないから
継続の制約は少なくとも無い筈。近所付合い云
々の柵はあるんだろうけど、なんだかんだ口実
を付けて抜ける奴も居るには居る。
男同士の恋愛って、抜ける理由になるのかな。
勿論表の理由はきちんと拵えるけど。手っ取り
早い所で拵えるならお受験かな。
 「何ぶつくさ言うてるん?」
 「理由付けの予行演習。来年は多分抜けなあ
かんから」
 「やっぱあの学校受けるんや。かしこい奴は
違うなぁ」
 「半分以上家ん見栄やっちゅうに。替わるか
?」
「要らん要らん。俺は行ける所でええわ」
 友達と言う表の理由で成立するお泊り。体は
繋いでいないけどお互いの体を探りあう良い機
会ではある。二人とも風呂から上がって腰にバ
スタオル一枚と言う状態だし。
 なぜ体を繋がないか。何時からか二人の間の
不文律になっていた、としか言い様がない。お
互いの欲に気付いた時にはそれなりの反応をす
る年頃ではあったけど、そこからどうするとか
には何故か心が行かなかった。お互いを弄る遊
びにはドキドキしたけど。
 「…えの…」
 「何?」
 「何もない」
 「…ムッツリー」
 足が伸びてくる。
 「成り行きでもええやんか」
 「ほんまに?」
 「…ゴメン。一寸嘘かも」
 伸びた足はバスタオルの上。そこからの延長
線上に兆しは見えない。
 「成り行きでイけたらスカッとするんかなぁ」
 「多分な」
 でも、こういう悶々、僕は嫌いじゃない。相
方も多分こう言うのが好きな方。バスタオル姿
にしたって今年になってから漸く相方の方から
解禁したんだから。
 「で」
 「ん」
 「スカッとしたらベタベタはせんの?」
 「どうやろ。ドロドロはするん違う?」
 「心も体も?」
 「腹ン中から出す訳違うやろけどな」
 「んー、そうかぁ」
 足の重みがすっと引く。そして間があって体
温が近づいてくる。耳朶に感じる湿り気。
 「ここまではどう?」
 「一寸エロいかも」
 「ほんま?」
 「べろが動くもん」
 「ほな」
 湿り気が顔面を移動し、口で留まる。
 「こんなんは?」
 「…イケズ」
 「ここから先はご褒美な?」
 「誰へのよ」
 「お受験頑張った俺等への」
 そういう片手に握られていたのは僕の参考書。
 「ここから先したかったら、俺を引っ張って
いきぃな」
 「マジ?」
 「マジ。今決めた」
 空いた片手がしっかり握られる。
 「二人やったら、多分無敵やもん。それには
俺も背伸びせんとな」
 「男やから?」
 「うん、男やから。どっちがどっちするにし
てもこういう時は対等でないとあかんやん?」
 「今から無理して下駄はく奴の台詞やないな
ぁ」
 「じゃかっし!俺が要るんか要らんのかどっ
ちやねん」
 売られた想いは買うのが礼儀。無言で動いて
やられた事をやり返してやる。
 「要るに決まってるやんか。でも、ええんか
?」
 「言わすな、ボケ!」
 今度は首筋に吸い付かれる。
 「吸うのは堪忍。せめて噛んで」
 「ここが弱点なんか。覚えとこ」

 それは、一昔前の二人の時間の一コマ。 
                (了)
posted by 葡萄瓜XQO at 21:43| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバーより | 更新情報をチェックする

2008年06月11日

第四巻拾九回  ある版元に就いての回想

御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
さて、つらつらと綴って参りましょうか。

今回は、或る版元に就いて筆者の記憶する限り
の事を回想してみようかと思います。記憶を資
料で補いつつの回想ですので、以後の記述にど
こまで役立つかは定かではございませんが。

其の版元の本を筆者が記憶する様になったのは、
94年に創刊された雑誌の「女の子のためのホモ
ポルノコミック」【註1】と言う煽情的なキャッ
チフレーズに触発されたからではなく、掲載作
品の傾向に親しみを覚え記憶していた様に思い
ます。翌年創刊された競合誌と寄り添う様な配
置で書店店頭に並んで以降は、其の傾向の対比
を愉しむ様にもなっておりましたね。
有体に申し上げますと、其の雑誌は非常に同人
誌に近い香りがしておりました。もそっと具体
的に言えば、同人誌を再録したアンソロジーに
かなり近い香りがしておりました。当時は筆者
も今以上に無知でございましたので内情等は一
切関知しておりませんでしたが。
比べて競合誌は荒削りではあったものの、最初
から商業誌と言う事を意識して作られていた様
に記憶しております。それまでの下積みあって
こその成果だったのだろうと今ははっきり判り
ますが。
この2誌は、陰陽はっきりとした対比の位置を
崩さずずっと寄り添って進展して行った様に思
います。今にして思うとそれは程好いバランス
であったのかも知れません。
とりあえず、以降の焦点は94年創刊の其の雑誌
中心に纏めて参りましょう。

筆者が其の雑誌を更に強く記憶する様になった
のは、95年12月に発行された特集版によってで
ありました。
「特集・ロリショタ」…表紙も煽情的でありま
したが、内容もかなり当時としてみれば刺激的
でしたね。これを時代の先駆と見るべきかどう
かは判断が恐らく分かれる事でありましょうが。
本全体の傾向としては、男性向けショタを意識
したものであった様に筆者個人は思うのですが
如何なものでございましょう。
閑話休題。
筆者がこの雑誌をもっとはっきり記憶する様な
節目が97年1月に訪れました。
知る人ぞ知るBL-OVAの先駆・『蒼き狼たちの伝
説』の漫画版がこの雑誌に掲載されたのです。
湯島ショーヘイ版『蒼き狼たちの伝説』
競合誌に於いて発表された作品を読んだ後だっ
ただけに、インパクトはございました。元の作
品との距離感も違っておりましたしね。そう、
これから先が読めると恐らく当時は愉しみにし
ていた筈なのです。
しかし、其の期待感はふっつり途切れさせられ
てしまいました。版元の倒産に伴う掲載誌の休
刊によって。

倒産の兆候はあったのかも知れません。
96年9月以降過去発行された雑誌の保存版なる
文庫版縮刷版が順次発行されたり、同じ時期に
創刊されたノベルズがかなりのハイペースで発
行されたり。
『不協する音・和する音』堀川むつみ

『奴隷城』高月まつり

ネコと少年/藤村裕香

プライベート・アイズ
当時は現在の様に関連情報がどこにでも転がっ
ているという状況ではなかったので、情報が奔
流となって流れるとただ翻弄されるばかりであ
った様に記憶しています。雑誌の栄枯盛衰も激
しい時期でありましたし。
筆者も改めて追憶する様な事態が訪れなければ、
当時の事を忘却して行った事でありましょう。
ブレス最終号奥付

ブレス最終号次回予告

「凌辱教室」ひかり出版刊

そう、当時の記憶としてはそんなものです。
そのまま補完されていなかったならば。
ですが、筆者の記憶は後に重なる縁によって補
完され、蘇りました。
この記憶が何方かの足しになれば良いのですが。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。
では次号配信まで、御機嫌宜しゅう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

註1
後に英語表記『Homo Porno Comic for Girls』
となった。

参考資料
『ブレス』199405 Vol.1
ひかり出版/94.5.30初版
ISBN 4-906500-01-3
『ブレス』創刊号と最終?号
『ブレス』Vol.16 1997
ヒカリコーポレーション/97.1.17発行
ISBN 4-89458-079-9

『ブレスspecial』特集・ロリショタ
ひかり出版/95.12.6初版
ISBN 4-906500-30-7
ブレスSpecial「ロリショタ」

ブレスSpecial「ロリショタ」保存版VOL.14

『ブレス』保存版Vol.1
ヒカリコーポレーション/96.9.25初版
ISBN 4-89458-009-8
ブレス保存版

『ノンポリシー・エピキュリアン』
荻堂成美;西崎祥
ヒカリコーポレーション/96.9.25初版
ISBN 4-89458-011-X
ノンポリシー・エピキュリアン

=======================
仇花の記憶~ショタやおい雑話~
第四巻拾九回 2007.10.10発行

文責:葡萄瓜XQO
posted by 葡萄瓜XQO at 23:01| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバーより | 更新情報をチェックする

2007年12月24日

第三巻弐拾二回 小説「硝子の聖ニコラウス」 2006.11.25配信

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
仇花の記憶~ショタやおい雑話~

第三巻弐拾弐回  小説「硝子の聖ニコラウス」
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
小説配信回。お楽しみ戴ければ幸いです。

○●○

  硝子の聖ニコラウス
               XQO

 恋仲とは言え野郎二人で過ごすクリスマスな
のだから何か彩りは欲しい、と言うのは付き合
った当初からの了解事項だった。
 だから付き合い始めた学生時代から足掛け十
五年、クリスマスの食卓には赤緑白のクリスマ
スカラーを欠かさない様にしている。アルバイ
トを始めたばかりの大貧乏な付き合い始め一年
目に湯豆腐でクリスマスカラーを演出したのも
良い思い出だ。
 え?湯豆腐じゃ白一色だろう?
 湯豆腐に付き物の薬味と言うものを忘れては
いけない。紅葉おろしの赤に葱の緑で立派にク
リスマスカラーになるじゃないか。当時の二人
には紅葉おろしと葱を買うのでさえ贅沢だった
し。
 その翌年には酒粕と白味噌で仕立てた汁に人
参と青菜を入れて過ごした。ほんの少しだけど
贅沢を味わえた気がした。そのパターンはその
後二回続き、一年毎に鍋の中身は豊かになった。
 流石に共稼ぎ状態になったここ十年来では偶
の贅沢を楽しんでいる。白を二人共通の好みの
濁り酒で演出するのが定番になって片手を越え
た辺りだろうか。喉越しが良すぎて呑み過ぎる
のが玉に瑕。こればっかりは好きなんだから仕
方が無い。
 でも今年は涙を呑まざるを得ないかも知れな
い。健康診断とか、体型とかの複合理由でね。
なんだかなぁ。

 「赤は何にする?」
 「鮭、筋子、イクラ、鱈子、明太子、」
 「鮪と言う選択肢は無い?」
 「酒の誘引材料になり易いから自粛」
 「美味い茶を飲めば良いじゃない」
 「握りなり山かけなりを食って酒呑まずにい
られると思う?」
 「微妙かも」
 「植物性乳酸菌摂取と言う選択肢もあるには
ある、か」
 「キムチ、か。明太子が有りならそれも有り
だな」
 「脂肪燃焼も期待できるし」
 「緑はそれで行くとサニーレタス?」
 「あ、完璧かも。白は豆腐でしょ?」
 「贅沢豆腐で頼む」
 「そりゃあね」
 本人達は冗談めかして言ってるつもりだけど、
多分横で聞く人が居たらうんざりした気分にな
るんだろうな。
 まあ、良いか。次の買出しには少し遠出をし
て朴さんのお店まで足を延ばそう。隣のラーメ
ン屋で豚骨スープ+キムチ+葱のクリスマスカ
ラーを楽しむのも良いだろうし。
 「そうか、チャンプルーと言う手もあるのか」
 「赤にトマト使うのは無しな?」
 独り言にツッコんでくれて有難う。

 部屋の飾りに就いては特に派手にしないと言
うのが了解事項になっている。片付けも大変だ
しね。最近ではコンパクトな小洒落た品も出て
いたりするのでそちらを専ら利用している。時
にワンコインで買えたりするから財布にも優し
いし。
 今年の飾りはツリーの横で佇むサンタクロー
スの人形。掌サイズとは言え硝子製なのでそれ
なりに綺麗に見える。折り紙ツリーを枕元に置
いての夜明かしの頃を思えば随分な変化だ。
 「ああ、そういえば土産が有ったんだ」
 「ん?」
 「普段遣いにこう言うのもそろそろ良いんじ
ゃないか、と思って」
 「へぇ、なんだろ」
 それで見せられたのがビロード張りの小箱と
来たらまあそれなりに期待してしまう。反面、
野郎同士になぁ、と軽い溜息も出る。
 蓋を開けて出てきたものは…指輪ではなくカ
フスボタン。銀色の地に赤と緑の石でラインが
刻まれている結構洒落たもの。
 「これなら多分目立たんだろ」
 「まあ、嬉しいけどさ。如何言う風が吹いた
の?」
 「これからもよろしくって感じかな?」
 そう言いつつネクタイを一寸摘んでみせる。
そこで存在感を示していたのは揃いのデザイン
のタイタック。
 「セット売りじゃなくてバラ売りで偶然見つ
けてさ。これだなと閃いた」
 そして、背中から抱かれる。
 「メリークリスマス。でかい餓鬼のお守り有
難う」
 「どう致しまして。来年も精々世話焼かして
よ」
 僕の耳が、静かに噛まれた。
               (了)

○●○

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。
では次号配信まで、御機嫌宜しゅう。
=======================
仇花の記憶~ショタやおい雑話~
第三巻弐拾弐回 2006.11.25発行

文責:葡萄瓜XQO
website:『仇花の記憶』
posted by 葡萄瓜XQO at 21:10| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバーより | 更新情報をチェックする

2007年11月25日

第四巻弐拾二回 小説「ふわさら」 2007.11.25配信

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
仇花の記憶~ショタやおい雑話~

第四巻弐拾二回  小説「ふわさら」
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
小説配信回。お楽しみ戴ければ幸いです。

○●○

ふわさら
            XQO

 ヒト属とケモノ属が一緒に暮らす、と言うの
は最近一般的になっている様だがまだまだ些細
な難関のある行為だ。互いの不足を補完し合っ
て生活できればそれに越した事はないんだが、
中には言うに言えない些細だけど厄介な事だっ
てある訳で。

 風呂から上がった後、俺は暫し鏡の前で考え
込んでしまっていた。仔細に検分すると確かに
了が余り良い顔をしない状況であろう事が判る。
俺自身も不快と言えば不快だ。
 ただでさえ毛並みの細かい俺の体毛を指で梳
けないんじゃなぁ…いい加減櫛も通り難くなっ
ているし、道具を使わない毛繕いも限界かな?
ドライヤーかけても相当乾き難いし。
 舌を使うという選択肢もない訳じゃない。そ
の代わり相当舌が荒れるけどな。ケモノ属の舌
でさえ荒れるんだからそれよりデリケートであ
ろうヒト属の舌が耐えられる筈はないと思う。
了がやりたがっても俺が止める。
 季節替わりに身を任せて…なんて暢気な事も
言っていられないだろう。先手を打って置かな
いと了がどんな突拍子もない手段を弄してくる
か、気が気じゃない。そうなったとしたらどっ
ぷり落ち込むのは了の方だもんな。
 大仰だけど、これも了を泣かせない為だ。時
期も時期だからとこじつける事も出来るだろう
し。

 とりあえずは腋の下。自分でもここが一番鬱
陶しかった。節理は判る。しかし鬱陶しいもの
は鬱陶しい。
 そこが終われば両腕から胸、そして腹。足は
下の方からゆっくりと毛並に逆らい…たくなる
誘惑もあるが一寸堪えて毛並に沿ってゆっくり
と。
 うん。流石に高性能を謳うだけある。この櫛
はかなり無駄毛が梳ける。そしてその無駄毛か
ら立ち上る臭気に我ながら閉口する。了はよく
この臭いに何も言わなかったもんだ。
 ヒト属の嗅覚を考慮するにしたって、この臭
気の中で色々と過ごすには余り愉快な感覚はな
かった筈だ。早く気付いて置くべきだったな。
随分と甘えてしまった。
 さて、隠し所周辺は…軽く毛並を整える程度。
ケモノ属の場合は隠す方が美徳だしな。
 残る背中側の手の届かないところは、了にや
って貰おう。自分でやって毛並が変になると了
が不機嫌になるから。背中の毛並を手櫛で梳き
たいってのもフェティシズムの一種なんだろう
なぁ。振り向かなくても掌から伝わる熱で了の
陶酔加減が判る様になってしまった。その陶酔
が俺に伝染してくるのにも、いい加減慣れた。
まさかその毛並に了が惚れたなんていう短絡思
考は抱かないけれども。

 「了、一寸いいかぁ?」
 「はいよ…って、思い切ったねぇ。寒くない
?」
 「お前らより暖かいって。……背中、頼める
か?」
 「はいな。この櫛で梳けば良いの?」
 ゆっくりと櫛を検分しつつ問うて来るので軽
く頷く。一梳きされた後は互いの呼吸音だけが
脱衣所に響く。……嵌りやがったな。
 「一寸勿体無い気もするよねぇ」
 「毛?」
 「ん。洗って乾かしてクッションのあんこに
するのもありと思わない?」
 「そいつは勘弁。自分の毛だけど何かが篭っ
てそうで俺は嫌だ」
 「なら、止めた」
 会話が出て来た所をみると、もう仕上げの辺
りになっているらしい。
 「こんなもんかな。シャワー、一人でする?」
 「一緒に頼む。背中が心許ないから」
 返事の代わりに、軽く鼻っ面にキス。

 シャワーの後にはもう一度ブラッシング。い
つもの櫛で遣ろうとしたら了に止められた。
 「んだよ」
 「先越されの感もあるけど、これ使おっか」
 了が取り出したのは、大振りの柘植櫛と柘植
ブラシのセットだった。
 「毛の艶もでるし、梳くには丁度良いかなっ
て」
 「どういう宗旨替えだ?」
 「毛を刈るって言う発想がなかっただけだよ。
クリスマスのついでだし」
 後は言葉を挟むなと言わんばかりに櫛を滑ら
せる。素直じゃねぇよな。耳を真っ赤にしてる
癖に。
 「…長い毛も梳いてみたかったな」
 「育てりゃいいじゃん、一年かけて」
 「赤と緑のリボン、つけて良いよね?」
 性悪な笑い返しにくらっと来た。   
                  (了)

○●○

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。

ここで一つ自己喧伝を。
『ショタコンのゆりかご』サイト化致しました。
http://shotayurikago.omiki.com/
ご愛顧戴けましたら幸いでございます。

では次号配信まで、御機嫌宜しゅう。
=======================
仇花の記憶~ショタやおい雑話~
第四巻弐拾二回 2007.11.25発行

文責:葡萄瓜XQO
website:『仇花の記憶』
http://kamakura.cool.ne.jp/xqo/
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2007年05月30日

言葉の来し方・資料編

ショタやおい雑記 - 言葉の来し方 - 2007.5.29

言語来歴を振り返る文献の手掛かりとして。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
仇花の記憶~ショタやおい雑話~

第二巻拾回  やおいことば来歴(壱)
資料編 2005.4.5発行
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
特集「やおいことば来歴」の資料編・第1回目を
一足先にお届けします。本編の為の予習資料と
思って戴ければ幸いです。

●  ○  ◎  ●  ○  ◎  ●  ○
「RAPPORI(らっぽり) やおい特集号」(復刻)
波津彬子:編集/らっぽり編集事務局
79.12.20発行
※復刻版収録
『小説JUNE』2001年3月号(通巻129号)
マガジン・マガジン/01.3.1発行

『JUNE』1993年11月号
マガジン・マガジン/93.11.1発行
※波津彬子回顧コラム掲載

『つばさ百貨店』別冊COMICBOX(1)
ふゅーじょんぷろだくと/87.1.24初版

『星矢に夢中!』別冊COMICBOX(4)
ふゅーじょんぷろだくと/87.8.1初版

『星矢危機一髪 あぶないせいや』
別冊COMICBOX(5)
ふゅーじょんぷろだくと/87.9.1初版
※読者のお便りコーナーにて<やおい>議論

『メイドイン星矢』FRESHPACKS
青磁ビブロス/88.4.20初版
ISBN 4-88271-001-3

『フィールドパーティー』FRESHPACKS
青磁ビブロス/88.7.7初版
ISBN 4-88271-002-1

『DEEP』VOL.1 1993 SUMMER
劇画スペシャル9/10増刊
ミリオン出版:発行/大洋図書:発売
93.9.10発行

『DEEP』VOL.5 1994 SUMMER
劇画スペシャル9/10増刊
ミリオン出版:発行/大洋図書:発売
94.9.10発行

『コミケーしょんらんど』
すたんだっぷ:編/93.1.9初版
ISBN 4-89367-301-7

『小説JUNE』1988年2月号(通巻34号)
サン出版/88.12.1発行

『現代用語の基礎知識2000』
自由国民社/99.11.12初版
ISBN 4-426-10118-2

『知恵蔵』2002
朝日新聞社/01.11.14初版
ISBN 4-02-390002-8

●  ○  ◎  ●  ○  ◎  ●  ○

では、又お目にかかりましょう。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
仇花の記憶~ショタやおい雑話~

第二巻拾壱回  やおいことば来歴(弐)
資料編 2005.4.15発行
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
特集「やおいことば来歴」の資料編・第2回目を
一足先にお届けします。本編の為の予習資料と
思って戴ければ幸いです。

●  ○  ◎  ●  ○  ◎  ●  ○

『JUNE』1982年7月 NO.5 
劇画ジャンプ7月増刊号
サン出版/82.7.5発行

『JUNE』1982年9月 NO.6 
劇画ジャンプ9月増刊
サン出版/82.9.5発行

『小説JUNE』第4号 JUNE10月号増刊
サン出版/83.10.5発行

『JUNE』1986年5月 NO.28 
サン出版/86.5.1発行

『ロマンJUNE』 1988小説JUNE10月増刊号 
サン出版/88.10.5発行

『耽美小説・ゲイ文学ブックガイド』
柿沼瑛子・栗原知代:編著/白夜書房/93.4.20初版
ISBN 4-89367-323-8

『青薔薇の街』
小沢淳/勁文社/94.9.10初版
ISBN 4-7669-2037-6
※解説及び巻末広告

『瞳に星降る』
神崎春子/勁文社/91.12.10初版
ISBN 4-7669-1502-X
※<耽美小説>と銘打たれた単行本第一号?

『ベイシティ・ブル-ス』
神崎春子/二見書房/92.12.25初版
ISBN:4-576-92183-5
※ Velvet Romanシリーズ一冊目

『深紅の誓い』
松岡なつき/白夜書房/92.10.30初版
ISBN 4-89367-295-9
※すたんだっぷ編集
巻末に〈白夜耽美小説〉と銘打った広告が
掲載されている。が、シリーズとして成立
していたかは不詳。

『DEEP』VOL.5 1994 SUMMER
劇画スペシャル9/10増刊
ミリオン出版:発行/大洋図書:発売
94.9.10発行

『イマージュ』BOY'S LOVE COMIC
すたんだっぷ:編/白夜書房/91.12.10初版
ISBN 4-89367-248-7

*データ参照
『小説イマージュ』VOL.1 BOY'S LOVE NOVELS
すたんだっぷ:編/白夜書房/92.6.30初版
ISBN 4-89367-275-4

『螺鈿の迷宮』
白城るた/白夜書房/93.5.20初版
ISBN 4-89367-337-8
※後書参照

『メルセデス・ベンツ』
柏枝真郷/光風社出版/93.8.5初版
ISBN 4-87519-372-6
※後書参照

*データ参照
『Charade』創刊号 BOY'S LOVE for GIRLS
二見書房/94.3.1発行

『小説b-Boy』1994年12月号
青磁ビブロス/94.12.14発行

『b-Boy 19』
青磁ビブロス/95.2.15初版
ISBN 4-88271-302-0
※カバー袖に『MAGAZINE BE×BOY』広告
同誌キャッチフレーズ
「感じたいから…BOY'sマガジン!!」

『小説イマージュCLUB』BOY'S LOVE NOVELS
白夜書房/95.5.1発行

『小説b-Boy』1995年11月号
青磁ビブロス/95.11.14発行

『純恋―JUN-REN―』
高城響/ヴェルヴェット・ノベルズ;ソニーマガジンズ
95.11.20初版/ISBN 4-7897-1030-0
※後書参照

CHARADE BOOKS挟み込み『Charade』広告/二見書房
※95年頃のものと思われる。
「いちばん読みごたえのあるボーイズラブ・
マガジン」の惹句あり。
「ボーイズラブ・マガジン」部分は二段階程
活字の等級が上げてある。

『Charade』広告付栞/二見書房
※96年末頃のものと思われる。店頭用?
シャレード・ブックスのキャッチフレーズとして
「爽やかボーイズラブに夢中!!」と謳われている。
このキャッチフレーズは後年シャレード文庫にも
適用される。

『Charade』1996年3月号 BOY'S LOVE for GIRLS
二見書房/96.3.1発行

『MAGAZINE BE×BOY』1996年4月号
青磁ビブロス/96.4.7発行

『ノックを3回』
あさぎり夕/芳文社/96.7.25初版
ISBN 4-8322-8024-4
※後書文中に〈BOY'S LOVE〉表記

『僕達の交差点』
あさぎり夕/小学館パレット文庫/97.4.1初版
ISBN 4-09-420717-1
※後書文中に〈ボーイズ・ラブ〉表記

『MAGAZINE BE×BOY』1997年4月号
青磁ビブロス/97.4.7発行

『Charade』1997年5月号 BOY'S LOVE for GIRLS
二見書房/97.5.1発行

『MAGAZINE BE×BOY』1997年5月号
ビブロス/97.5.7発行
※社名変更告知あり。

『MAGAZINE BE×BOY』1997年8月号
ビブロス/97.8.7発行

『b-Boy ZIPS 4』
ビブロス/97.9.15初版
ISBN 4-88271-615-1
※読者欄にて〈BOY'SLOVE〉の表記確認

『MAGAZINE BE×BOY』1997年10月号
ビブロス/97.10.7発行
※ボーイズラブ表記なし

『MAGAZINE BE×BOY』1997年11月号
ビブロス/97.11.7発行
※ボーイズラブ表記なし

『小説b-Boy』1997年12月号
ビブロス/97.12.14発行
※作家エッセイ初め〈ボーイズラブ〉
〈ボーイズ・ラブ〉表記確認

『野いちご心中』
タカハシマコ/芳文社・花音コミックス
99.3.31初版/ISBN 4-8322-8083-X
※後書参照。原稿依頼時(96年末頃?)の
〈ボーイズラブ〉の認知度について。

*データ参照
『組曲』vol.1
フロム出版/96年10月初版
ISBN 4-938752-62-X
※キャッチフレーズ
〈SAINT BOY'S COMIC ANTHOLOGY〉

『組曲』vol.2
フロム出版/97.1.20初版
ISBN 4-938752-68-9
※キャッチフレーズ
〈BOY'S LOVE COMIC ANTHOLOGY〉

『日経キャラクターズ!』2005.03 NO.06
日経BP社/05.3.1発行
※ボーイズラブ特集

●  ○  ◎  ●  ○  ◎  ●  ○

では、又お目にかかりましょう。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

今なら糸はまだ充分に手繰れましょう。
posted by 葡萄瓜XQO at 18:47| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバーより | 更新情報をチェックする

2007年05月29日

言葉の来し方

言語来歴を振り返る、と言う意味合いを
込めまして。本文再掲と参ります。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
仇花の記憶~ショタやおい雑話~

第二巻拾回  やおいことば来歴(壱)
2005.4.10発行
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
ではゆるゆると綴らせて戴きましょうか。

今回と次回のお題はやおいの言葉に関する歴史
の補足です。やおいと言う言葉が定義されて以
降・ボーイズラブ定着迄の事を年を追いつつ少
し振り返ってみたいと思っております。
お浚いの部分もございましょうがご容赦下さい
ませ。

「やおい」と言う言葉の内容が初めて定義され
明文化されたのは1979(昭和54)年12月20日に
発行された同人誌『RAPPORI やおい特集号』誌
上の事である、と言う史実が人口に膾炙されて
久しいと思います。ここに於いて「山なし・落
ちなし・意味なし」がやおいの語源であるとと
りあえず明文化され、後に定説化された訳でご
ざいます。
この時点でやおいが発祥した訳ではありません。
定義と語源が明文化された最初と言う訳でござ
いますね。其の事はこの本に収録の同誌同人座
談会でも言及されております。そしてもう一つ
言及しておけばこの定義の時点での〈やおい〉
にはアニメパロディと言う意味合いは含まれて
いなかったと言う事です。
その時に定義された〈やおい〉とは、今の言葉
で言うと〈耽美〉若しくは〈JUNE〉と呼ばれる
べきものでした。『JUNE』の創刊間もない頃【註1】
でもございますし、影響が皆無だった、とは申
しません。
今日の状況から言いますと、この〈やおい〉と
は広義の定義であろうかと察せられます。そう
言うテーマの下に製作された作品全般を包括す
る、そう言う感じでございますか。

そして、〈やおい〉は通若しくは通ぶる人々の
間でのみ交わされる言葉になっていきました。
少なくとも、往時の状況を資料で見る限りは今
日の様におたく以外の人々にも膾炙される兆候
は微塵も無かった様に思えます。
其の状況を変えたのが、同人誌界に於けるキャ
プテン翼ブームでした。1980年代後半の事です
ね。このブームの中に参加していたあるサーク
ルが今日の意味合いでのアニメパロディとして
〈やおい〉と言う語を用い始め、そこから伝播
したと伝え聞いております。
ただ、それだけが今日に至る状況の全ての説明
になるか、と言えばかなり無理があります。其
の当時の同人誌市場と言っても今日とは桁が違
うでしょうし、第一即売会も規模が違います。
ここで忘れてはいけないもう一つの媒体があり
ます。同人誌アンソロジーと言う存在です。
同人誌界で話題を呼んだ諸作品が傑作選と言う
形で編まれ、そして商業出版市場で流通する。
今日では当たり前の手法なのでしょうが、当時
の漫画同人誌発の動きとしては画期的な手法で
は無かったでしょうか?
そこに追い風を送る様に聖闘士星矢のアンソロ
ジーも編まれる様になります。言うなれば競合
と言う形でございますか。
そして更に追い風として、ふゅーじょんぷろだ
くとの独占市場であったアンソロジーと言う土
俵に青磁ビブロス(現BIBLOS)が参入し、花を
添える様になりました。
ここまでの要素が揃うに至り、〈やおい〉の認
知度は良くも悪くも上がったと考えられます。
そう。今日で言う〈やおい〉の定義…男性キャ
ラクター同士を絡ませるアニメ・パロディ…が
為されたのはこの時期であると言えます。狭義
の〈やおい〉でございますね。
ここで生まれた原動力が後に様々に発展してい
く事になるのです。今日の意味合いの〈耽美〉
と言う定義が生まれたのも実はこの時代以降の
話だと推測されるのです。
一方その頃、オリジナル作品耽美作品の牙城で
あった『JUNE』周辺にも微かに動きはあった様
です。『小説JUNE』1988(昭和63)年12月号
(通巻34号)の表紙には「J.NOVEL」と言う文字
が躍っております。『JUNE』創刊10周年【註2】
の節目の意気込み表明だったのでしょうか?この
「J.~」表記、小説のみならず漫画や映画にも
適用されていた様です。が、惜しいかな余り根
付かずに暫く使用された後に看過されてしまっ
た様です。
歴史を語る際のもしは禁句なのでしょうが、こ
の時点以降「J.~」と言う表記が広く定着して
いたならば、この方面の展開もまた少し違った
様相を見せたかも知れません。
因みにその時期からほぼ十年を経た後の90年代
終盤に当時の日本文学の流れを形容する言葉と
して「J文学」なる呼称が提唱されていたと筆者
は記憶しております。こちらも現在Web検索で探
す事がやや困難な語となっている様です。
「J.~」表記と「J文学」。この二者に因縁は無
いとは思うのですが。

さて、狭義の〈やおい〉が成立し、定義が固ま
った事で同人誌作成に参加される方は格段に多
くなったと拝察されます。取り扱い作品(ジャ
ンル)も多くなり、又それに伴うアンソロジー
も多く編まれる様になりましたし。
其の一方で、オリジナル作品:殊に小説を書か
れる方にとっての劇的な状況変化も起こってい
たのでございます。「J.~」に代わる、今に伝
わる変化が。

この続きのお話は、次回配信分4月20日の回にて
させて戴くと致しましょう。
では、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。次号まで、御機嫌宜しゅう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
註1
1978(昭和53)年。創刊時の名称は『コミック
JUN』。第3号より『JUNE』に誌名変更。当時の
版元はサン出版。

註2
なお、創刊10周年記念企画として『カセットJUNE』
を製作すると言う運びになり、製作中であると
この号に記載されている。
乱暴に言うならばこの企画からBLドラマCDの歴
史が始まったとも言えるのではないか?
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

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仇花の記憶~ショタやおい雑話~

第二巻拾壱回  やおいことば来歴(弐)
2005.4.20発行
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
ではゆるゆると綴らせて戴きましょうか。

〈耽美小説〉。
今日でこそこの言葉から男性同士が恋愛関係に
陥りそれを軸に展開する小説を想起する方は多
いのでしょうが、かつて〈耽美〉なる言葉を冠
されていたのは所謂幻想文学的な作品群でござ
いました。この方面の文章その他表現を指して
〈耽美〉と冠する例が皆無だった訳では無い様
ですが、あくまでも極一部の仲間内で囁かれる
用法だった様ですね。例えば『JUNE』周辺です
とか。初期の『小説JUNE』では投稿された小説
の一群に〈耽美小説〉と冠していた様ですが、
それはあくまでも〈耽美〉の本義に沿うた形の
用法であったかと思われます。
資料を紐解いた所に拠れば、其の状況が変わる
兆しは、ある出版社からもたらされたとの事で
す。
1991(平成3)年12月、勁文社より刊行された
『耽美小説SERIES』が、その兆しです。このシ
リーズこそが公的な〈耽美小説〉と言う呼称・
定義の先駆となったのです。新書版上製(ハー
ドカバー)・本文一段組のこのシリーズをご記
憶の方は今でも多いのでは無いでしょうか。後
年このシリーズに参加する事となった小沢淳さ
んは著作『青薔薇の街』の後書でこのシリーズ
が(現行の意味での)〈耽美小説〉と言う呼称
の先駆であった事に言及し、往時のときめきと
参加するに至った事への喜びを述べておられま
す。又翌92(平成4)年2月にはシリーズと書籍
上には明確には銘打たれて居りませんでしたが
白夜書房より『白夜耽美小説シリーズ』【註1】
が、同年12月には二見書房より〈耽美小説〉と
明確に冠した『Velvet Roman』シリーズが刊行
され始めました。これらも勁文社のシリーズ同
様新書版上製と言う版型、そして本文一段組と
言う体裁でした。
〈耽美小説〉と言う定義はここに定まり、また
今日のBLノベルズの判型の基本はこの時点で決
定した様なものです。
ただ、この名称が当の作家さん達に積極的自発
的に用いられたか、と言うと少し疑念は残りま
すが。あくまでも対外的な呼称としてと言う意
味合いが強かった様に見受けられます。

一方、オリジナル漫画作品の呼称はと言うと実
際の処定まったものは無かったと言う記憶が筆
者自身うっすらとありますし、現場に於いても
ホモ漫画だとかやおい或いはYAOI等好きな様に
呼び倣わされていた様です。或いは『JUNE』周
辺では耽美ですとか。『JUNE』のイラストコー
ナーに於いてはかつて〈ヒワイ画〉と言う総称
がございました。
1991(平成3)年12月に白夜書房から『イマージ
ュ』が創刊され、其のカバーに〈BOY'S LOVE CO
-MIC〉の文字が踊る様になったとは言うものの、
ボーイズラブと言う呼称が根付くまでには今暫
くの時間が必要となったのです。ほぼ同じ頃に
創刊された青磁ビブロスの『b-Boy』にもまだ
〈ボーイズラブ〉と言う呼称は登場しておりま
せんでしたし。恐らく、語としての初出はこの
時点の事であろうと思われます。

青磁ビブロス…1997(平成11)年に社名変更し
てBIBLOS…がボーイズラブと言う言葉を提唱し
た、と言う通説は少し違う様です。同社発行の
『MAGAZINE BE×BOY』のキャッチフレーズとし
てボーイズと言う語は用いられていた様ですが。
同社創業から社名変更に至るまで、そして社名
変更して暫くしてからも、BIBLOSの出版物に於
いては(広義の)〈やおい〉が用語として用い
られていた様ですね。
むしろ既存のボーイズラブと言う語にスポット
を当て、独自の路線を打ち出す為に活用する様
になったと言うのが実情では無いでしょうか。
流石に競合誌の名を冠した〈JUNE〉と言う語を
用いる訳には行かないでしょうし。
筆者が確認する限り、BIBLOSの出版物に於いて
ボーイズラブと言う語が用いられる様になるの
は筆者の確認の限りでは97年9月以降になってか
ら徐々に、と考えるのが妥当である様です。
では他の社では如何だったかと言うと、実はし
かと用いられております。
『小説イマージュCLUB』(白夜書房、創刊時は
『小説イマージュ』92.6.30~/95年6月号よりコ
アマガジン)はあの『イマージュ』から分派し
た小説誌だけあって〈BOY'S LOVE NOVELS〉と冠
しておりますし、二見書房刊の『Charade』(94.
3.1~)も〈ボーイズ・ラヴ・ノベルズ&コミッ
クス〉〈BOY'S LOVEfor GIRLS〉と創刊時から既
に謳っていた様子。時系列だけ見ると、一体何
が起こっているのかと言う感じです。
作家さん個人を見るとあさぎり夕さんが96年に
著作の後書で〈BOY'S LOVE〉と用いられている
のを確認しております。

何故先駆ではないのにBIBLOSが『ボーイズラブ』
の祖として称されるのか。
筆者が思いますに、雑誌の浸透率と言うものが
多少は関係しているのではないでしょうか?
BIBLOS発行の雑誌は凡そ他社に比べ多少低価格
であったが故に一般にも浸透し易かったのでは
ないか、と。其の為何かと情報媒体としては用
い易かったのではなかろうかと考えられます。
インターネット上のネタとして提示された言説
が物証無きままに浸透したと言う可能性もあり
ます【註1】。
資料に基づいて観るならば、〈耽美〉から〈ボ
ーイズラブ〉への転換に大きな役割を果たした
のは二見書房であると言う読み取りも出来ます
ね。この辺りは注目されている様で史料が欠落
している部分ではなかろうかと思われます。

〈耽美小説〉〈ボーイズラブ〉と来て、〈JUNE〉
と言う区分に触れる事を忘れる所でした。
簡略に申し上げますと、この表現は其の侭『J-
UNE』の読者内部から伝播したものであろう、
と推定されます。
83年の段階で既にそう言う匂いのするものに対
して〈JUNE〉と冠する兆しが観えております。
恐らくやおい市場の第一次成長期(80年代後半)
に伴い、内部からのラベルとして〈JUNE〉と言
う物言いが発達したのではあるまいか、と推測
されます。【註3】
恐らく〈やおい〉に対するアンチテーゼ的な物
言いとして拡がり始め、それがオリジなる作品
への区分呼称となっていったのでしょう。
この辺りも確かな傍証が見落とされている部分
であろうかと。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。次号まで、御機嫌宜しゅう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
註1
『白夜耽美小説シリーズ』と言う明確な存在を
確認出来る資料が漸く見つかった。

『薔薇の微笑』
白城るた/白夜書房/92.10.15初版
すたんだっぷ:編 ISBN 4-89367-287-8

こちらの後書及び帯に拠ってとりあえず版元サ
イドはこの判型で出版された一群をシリーズと
言う認識で捉えていたらしいと確認。
シリーズと銘打たれていながらも共通している
のはカバーを取り去った装丁のみと言う判別し
難い例である。

註2
筆者が確認する限りでは2001年初頭にBIBLOS提
唱説が発言されている。が、提唱の場になった
媒体等は明記されて居ない模様。

註3
『小説JUNE』1988年2月号/通巻34号(サン出版
/88.12.1発行)及び『小説JUNE』連載「JUNE文
学ガイド」切り抜き(90年代中盤のもの多数)
を参照した。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

復習となれば良いのですが。
posted by 葡萄瓜XQO at 01:20| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバーより | 更新情報をチェックする

2006年11月23日

第18回(2004/6/30配信)追補の追補

随分な回り道でございましたが、とりあえず
確認できましたので。
前記事→第18回(6/30配信)追補【04/7/26】

(略)
同人誌アンソロジー上に性的描写の殆ど出ない
時期も確かに御座いました。が、その後激しい
リバウンドが起こり、却って激しい性描写が掲
載される事も散見されたという経過も御座いま
す。(註3)(後略)

註3
(略)
リバウンドの一例では或る『るろうに剣心』同
人誌アンソロジー(年齢制限表示無し)に於い
てやおいではなく男女の性行為描写を含んだ作
品が紛れ込んでいたという事例を見てしまった
記憶がある。記憶の裏付けとなる資料が手元に
無いので我ながら歯痒いが。

この部分を指し示す確実な資料がございました。

抜刀ろまんす 其ノ16

ハイランド (1998.6.20)
ISBN : 4938827751
価格 : ¥945
この本は現在お取り扱いできません。


女体化でもなく女装でもなく。
やおいの中にふと紛れれば、と言う何らかの
思惑があったのでしょうか。
posted by 葡萄瓜XQO at 16:43| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバーより | 更新情報をチェックする

2006年02月25日

melma!&RanSta配信システム休止の為

早々にではございますが、再掲して責を少しだけでも
果たして置きます。該当読者様宛には後程改めてメール
マガジン形式で配信致します。

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仇花の記憶~ショタやおい雑話~

第三巻四回  小説「肝心要」
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
小説配信回。お楽しみ戴ければ幸いです。

○●○

   肝心要
                XQO

「この惰弱者」
「お互い様」
「いつもと変わらない事でなんでこんなになる
んだか」
「こっちの台詞だ…痛…」
「大丈夫?」
「…一寸の動きでこれかよ…ったく」
 小声で遣っていた筈の遣り取りに割り込む声。
 「…あのな…一応診療時間内なんで痴話喧嘩
は程々にしてくれな?皆了解はしてるけどな」
 そして其のBGMにご近所の小母ちゃん方の笑い
声。皆潜み笑いにしてくれてるけど…目に入る
範囲では耳がかなり赤い人も。
 そして僕と彼はバツの悪いうつ伏せ顔を見合
わせる。お互いまだホットパックに拠る温熱療
法が終わらないから。この後は干渉波治療が待
っているし。
 かかりつけの病院とは言え、そして担当医が
事情を熟知している同級生だとは言えこういう
時には軽く後悔する。恥ずかしい半分バツ悪い
半分で。こうなる毎に毎回二駅程離れた整骨院
に二手に分かれて行こうと打ち合わせては居る
んだけど、結局体調を熟知してくれている掛か
りつけの医者が安心だと言う安心感に流される。
ご近所にも既に公認して貰っているから今更恥
らってもと言う安心感と言うか気抜け感がある
し。
 因みに、僕等が治療を受けているのはベッド
上の運動が原因では無い。家庭菜園につい夢中
になって無理な姿勢を続けたというのが原因。
自給自足の一環でもあるから育っていればつい
つい手も掛けたくなるもの。ご近所公認になっ
てしまったのも思い返せばこの家庭菜園が発端
だったな、とつい思い出したりもして。
 「ああ、そうそう俊史ちゃん」
 「何?婆ちゃん」
 脚に干渉波掛けてるおタネ婆ちゃんに話し掛
けられ、声だけで返事する。
 「雪花菜でコロッケ作ったんだけど、お昼に
どう?」
 「いいの?」
 「一寸作り過ぎちゃってねぇ。食べて貰える
と助かるのよ」
 「じゃ、後で取りに行くよ」
 「いいわよ。あんた達は寝てなさいな」
 「でもさぁ」
 「阪本さんの所にはあたしかついて行くわよ」
 膝にマイクロウェーブをかけている猪上の小
母さんが話に入ってくる。
 「猪上さんまで。悪いよ」
 「自分の家に帰るついでだもの。構わないわ
よ」
 良いご近所に恵まれたなぁ、とこういう時し
みじみ思う。普通なら、関係をオープンにして
も多分何所か外部と境界線が出来るのだ。
 それが、家庭菜園での四苦八苦を見かねた風
呂屋の小母さんに声をかけて貰い、そこからじ
わじわと何かが解けていった。苗字で呼ぶのも
なんか変な気分になるから名前で呼ぶわ、と言
ってくれたのは昔煙草屋今コンビニの白端さん。
その申し出は結構有り難かったりする。制度上
の問題とはいえ、すんなりと彼と同じ苗字を名
乗れ無いのは気分的に結構しんどいものがある
から。紙一枚の話と笑ってみた所で、その紙一
枚に結構な重みを感じる事は僕等の様な関係で
も同じ事…いや、もしかしたら世間並み以上か
も知れない。
 だから、こう言う形で事実を認識して貰える
と言う事がとても嬉しいのだ。

 「痛みが治まったら牽引も試しておきますか
?」
 「した方が良いですか?」
 「軽くだけどね」
 同級生相手の軽口ではなく、医者と患者とし
ての打ち合わせ。何だかんだ言って的確な治療
を試してくれる医者と言うのは有り難い。必要
以上のセクハラもしてこないし。
 「此処ならカルテも揃え易いからね」
 するりと滑り込む呟き。
 「だから安心して次からも来なさいよ。事実
婚は疾うの昔に認めてるから」
 そして軽く肩を揉まれる感覚。その掌の温か
みに、自分達の置かれた環境の得難さ有り難さ
をしみじみと味わった。
 こう言う日常なら、悪くない。
                (了)

○●○

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。
では次号配信まで、御機嫌宜しゅう。
☆★☆★☆★☆
RanStaとmelma!のサービス統合作業に伴い、
両者で登録されていた読者様へ配信が遅れ
ました事を末文ながらお詫び申し上げます。
何卒これからもご愛読戴ければ幸いです。
=======================
仇花の記憶~ショタやおい雑話~
第三巻四回 2006.2.25発行

文責:葡萄瓜XQO
website:『仇花の記憶』
http://kamakura.cool.ne.jp/xqo/
mail:メールアドレス

このメールマガジンは
melma! 
http://www.melma.com/backnumber_90840/
メルマガ天国 
http://melten.com/m/14637.html
Mailux
http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533
メルカップ
http://www.melcup.com/cgi-bin/magazine/magazine.cgi?mag_id=M000000737
マガジンすきやねん
http://www.sukiya-nen.com/sys/m.cgi?id=xqo
のシステムを利用して発行させて戴いています。

ご意見ご質問等はWebサイトBBS
http://otd11.jbbs.livedoor.jp/adabana/bbs_tree
にて承ります。
又連動BLOG「ショタやおい雑記」も運営しております。
http://xqosy.seesaa.net/
こちらも宜しくお願い致します。

バックナンバーはサイト内にて公開しております。
再配信ご希望の場合はお手数ですがメール若しくは
BBSにてご用命戴ければ幸いです。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
posted by 葡萄瓜XQO at 22:43| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバーより | 更新情報をチェックする

2004年07月26日

第18回(6/30配信)追補

(略)
同人誌アンソロジー上に性的描写の殆ど出ない
時期も確かに御座いました。が、その後激しい
リバウンドが起こり、却って激しい性描写が掲
載される事も散見されたという経過も御座いま
す。(註3)(後略)

註3
(略)
リバウンドの一例では或る『るろうに剣心』同
人誌アンソロジー(年齢制限表示無し)に於い
てやおいではなく男女の性行為描写を含んだ作
品が紛れ込んでいたという事例を見てしまった
記憶がある。記憶の裏付けとなる資料が手元に
無いので我ながら歯痒いが。

この部分につきまして、先ず一冊該当するアンソロ
ジーのデータが判りましたのでお伝えします。

抜刀ろまんす 其ノ7

ハイランド (2001.1)
通常1-3週間以内に発送します。


こちらに掲載されております例は、『女体化』と言う
展開方法を用いられたものですので問題なく?掲載
されたものと思われます。

以上、データ追補でした。
posted by 葡萄瓜XQO at 18:03| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバーより | 更新情報をチェックする

2004年05月14日

書誌データ訂正

先刻配信した臨時号に一部訂正箇所がございま
した。
『隠語大辞典』の著編者記載を(木村義之・小
出美佳子:編)としておりましたが、小出女史
の名前の記載を間違えておりました。
『小出美河子』と言うのが正しい記載でござい
ます。ここに謹んで訂正お詫び申し上げます。
=======================
仇花の記憶~ショタやおい雑話~
訂正号  2004.5.14発行

文責:葡萄瓜XQO


謹んで訂正記事を記載します。
posted by 葡萄瓜XQO at 17:44| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバーより | 更新情報をチェックする

書誌データ判明訂正報告

御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
書誌データ判明訂正のお報せで御座います。

2003年5月28日発行『ごく私的なやおい歴史記録』
増刊号第5回註2の『若い燕』に関する説明文に
おいて、平塚雷鳥の情人からの手紙文中にてこ
の言葉が初出したと記しましたが、『日本俗語
大辞典』(米川明彦:編/東京堂出版/03.11.10
初版)及び『隠語大辞典』(木村義之・小出美
河子:編/皓星社/00.4.15初版)を確認した所、
平塚雷鳥当人が初めて使用した言葉であったと
判明致しました。ここに謹んで訂正報告させて
戴きます。

これからも当マガジンをご愛顧の程、宜しくお
願い致します。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
さて、普通の号でしたらここで傍註が挿入され
たりするのですが、ほんの少しだけ自分語りな
ぞお許し戴きたく。

奇しくも今号が発行一周年を迎える号となりま
した。発行開始からこの一年間、良くぞ続ける
事が出来たと思います。御付き合い戴いた全て
の方に深く感謝致します。
思えば筆者は自分でコチャコチャと調べた物事
について何方かに聞いて戴くのが昔から好きな
口だったようです。傍迷惑な薀蓄小僧とでも申
しましょうか(苦笑)
只、長ずるに従って、只薀蓄を流すのではなく
その知識の源流も知りたくなり、その知識の源
流が醸し出された瞬間の空気も呼吸したくなっ
て参りました。思えば、そう思えた時にたまた
まやおいショタにも親しんだと言うのが今日の
様相の発端だったのでしょう。
お陰様で、色んな本に親しませて戴きました。
やおいの様々な側面は、学問に通じるとしみじ
み感じさせて戴きました。
只、全ての方が筆者と同じ様に回り道も含めた
雑学をお好みだとは限りません。中にはとり急
いで知りたい事があるのに糸口さえ見つからず
焦りばかり感じておられる方もいらっしゃいま
しょう。
どうせこの世界に長く居座った身です。何かお
話する事が出来れば、と色々させて戴こうと思
い今日に至っております。

こう言う者の綴る記録でございますが、これか
らもご愛顧の程を。
=======================
仇花の記憶~ショタやおい雑話~
臨時号  2004.5.14発行

文責:葡萄瓜XQO


こう言う形の一周年となりましたが、宜しくお願い致します。

隠語大辞典
隠語大辞典
posted with 簡単リンクくん at 2005.11.22
木村 義之編 / 小出 美河子編
皓星社 (2000.4)
通常24時間以内に発送します。


日本俗語大辞典
米川 明彦編
東京堂出版 (2003.11)
通常24時間以内に発送します。
posted by 葡萄瓜XQO at 16:00| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | バックナンバーより | 更新情報をチェックする

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